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傷物語 [ライトノベル]

 小説「傷物語」を、読み終えました。化物語の前日譚、春休みの前日から新学期までのエピソード。高校生の阿良々木暦は、終業式の後、学校の周りで時間を潰していたが、そこへ、常に学年トップの成績を誇る優等生、羽川翼が正面から歩いてきた。彼女と面識のない暦は、そのまま通り過ぎようとしたが、その時、風で舞って、めくれあがったスカートの中を、まともに見てしまう。そんなアクシデントが切っ掛けで、翼と親しくなった暦は、話題の一つとして、街に吸血鬼が出没するという噂を聞かされていた。そして、その日の夜、不意に買い物へ出掛けた暦は、その帰りに、道端で、四肢とも切断され、瀕死の状態の金髪女性と遭遇する。「キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード」と名乗り、吸血鬼だと言う彼女は、一人分の血を要求するが、当然、拒絶する暦。逃げようとしたところ、彼女は、高飛車な態度を急変させ、死にたくないと泣き出してしまう。どうしても、見て見ぬふりできない暦は……。

 20代後半の金髪美女という容姿の吸血鬼……。暦が怪異と関わって、最初に助けた女性という事になりますね。命がいくらあっても足りないような言動は、暦らしいと言えそうですし、そんな優しさは、吸血鬼さえも心を動かされたと見るべきでしょうか……。吸血鬼、ハートアンダーブレードも、言動とは裏腹に、子供っぽい面もありますね。実際、三人の吸血鬼ハンターによって奪われた四肢を取り返すまでは、子供の容姿という事もありますが、暦との関係を深めるような会話シーンとか、微笑ましいものがあり、好感が持てます。あと、翼と暦の関係も、かなり親密で、驚きました。少なくても2回は命を落としていたのでは……と思える危ういまでの献身的な言動を見せる翼に、とても魅力を感じます。特に、体育倉庫での会話やちょっとエロいシーンを見せられると、暦の事が、どれだけ好きか思い知らされますね。
 でも、やはり、ヒロインは、ハートアンダーブレードの方かな……。暦だけ、彼女の事を、キスショットと呼んでいましたが、その呼び方に、何か特別な意味があるようですし、思った通りなら、彼女もまた、暦の事が好きだと言えそうです。
 結末は、切ないラブストーリーを見ているようなドラマチックな展開でしたが、ハートアンダーブレードの願いが叶わない暦の妥協点は、ペットに例えて、美談でも何でもないという忍野の言葉が、印象に残りました。


傷物語 (講談社BOX)

傷物語 (講談社BOX)

  • 作者: 西尾 維新
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/05/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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