コミックス「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん とっておきの嘘」を、読みました。高校生の御園マユは、10年前に起きた誘拐事件の被害者となったのが切っ掛けで、精神を病み、ずっと誰とも関わらずに生きてきた。そんな彼女の前に、ある日、同じ事件の被害者、自称、みーくんが、姿を現す……。彼もまた、精神を病んでいたが、嘘で固めた言動により、平静を保っていた様子で、目的は、マユの保護と街を騒がしている連続通り魔事件や誘拐事件の真相究明だった。「みーくん」は、マユが慕っている唯一の人物という事もあり、一緒に暮らし始める二人だが、誘拐事件と騒がれている行方不明の姉弟を自宅に監禁しているマユの真意を測りかねていた……。

 以前から、原作のライトノベルを読もうか迷っていた作品ですが、懸念していた通り、かなり重い話でした。特に、マユのトラウマは、精神科医が見放す程、根深いもので、過去の全容を知った時は、衝撃的でした。彼女が無くしている事件の記憶は、自己防衛の本能と言えそうですし、そのまま封印するしか道は無いように思います。今回のエピソードについては、とりあえず、最悪の事態は避けられた事で、現状を維持できたという程度ですが、誘拐された姉弟にとっては、得るものがあったように思いますし、みーくんも、計画を破棄したのは、良い傾向だと思えます。
 いずれにしても、狂気に満ちた誘拐犯によって、崩壊した三人の子供の人生を描いたシビアな作品で、暗く閉ざされた運命から逃れる術が見当たらず、辛いところですね。望みがあるとすれば、マユとみーくんの同居から、幸せを見出して行く事でしょうか……。何が、幸せなのかは、わかりませんけど、二人でいる時は、少し救われているような気もしますし、その辺に期待するしかないかも知れませんね。



嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん とっておきの嘘 (角川コミックス・エース 317-1)

  • 作者: 佐藤 敦紀
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2011/01/07
  • メディア: コミック



嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん下敷

  • 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
  • メディア: おもちゃ&ホビー



嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん ブックマーク

  • 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
  • メディア: おもちゃ&ホビー