ライトノベル「これはゾンビですか?3」を、読みました。強すぎる魔力の制御に苦しみ、様々な事件の発端となっているユーは、これ以上、迷惑を掛けられないという趣旨の書き置きを残して、失踪した。納得できない歩たちは、必死になって、ユーの探索を行うが、手掛かりは掴めず、どんどん時は過ぎて行った。ユーが去って、見かけ上、平穏さを取り戻した毎日に、このままでいいのかも知れないと思い始める歩だが、そんな時、ちょっとしたアクシデントが原因で、歩の嫁になる決心をしたという吸血忍者の友紀からデートに誘われ、付き合う事になったが、ハルナやセラの妨害が入り……。

 友紀は、単純で、素直な可愛いタイプのキャラクターですが、一人称がオレ…と、言動が男っぽく、色気が足りませんね。歩とは、恋人というより、仲の良い男友達のような関係と言えそうです。それでも、歩を意識しはじめているハルナの心を動かしたり、ちょっとした事情で、孤独の身となったセラも加担して、ラブコメ要素も強くなってきました。ただ、メインは、どうしてもバトルものという感じで、未解決の問題が山積みです。特に、歩が殺された直接の原因でもある夜の王と京子、そして、ハルナが大先生と称賛する魔法の世界の強者まで参入し、更に、友紀にも重大な秘密が……。ユーをめぐり、最終決戦のような盛り上がりを見せる展開に、思わず夢中になって読んでしまう魅力があります。
 結局のところ、大団円となったわけですが、歩と同じ体質を持つ夜の王が、死にたがっていた事は、いずれ、歩に降りかかる問題かも知れませんね。自分の事をゾンビと連呼する歩の真意は、不老不死のなんだかよく分からない体になってしまった不安の表れなのかも知れませんし……。とりあえず、ユーやハルナ、セラとの同居生活が続く限り、退屈はしないと思いますね。特に、「私はもう、何があっても歩の側にいるから」とユーに言わせた事が、深読みすると、波紋を広げそうな気もします。


これはゾンビですか?3 いえ、それは爆発します (富士見ファンタジア文庫)

  • 作者: 木村 心一
  • 出版社/メーカー: 富士見書房
  • 発売日: 2009/09/19
  • メディア: 文庫