ライトノベル「これはゾンビですか?9」を、読みました。波乱の冬休みも終わり、学校では、友紀やサラスたちと賑やかな毎日を過ごす歩だが、そんなある日、サラスの紹介で、結婚披露宴のハウトゥビデオ制作というアルバイトを引き受けた。見知った面々が集まる会場で、新郎役のモデルとなった歩だが、ハチャメチャな進行に、困惑を隠せずにいた。そんな中、あるエピソードを思い出す……。
 サラスと二人で高級寿司屋へ行った事が波紋を広げて行く「ヘイ、寿司食いねぇ」や、サラスのライブコンサートで、バックダンサーをする事になった友紀の奮闘を描いた「踊るアホウの憂鬱」、それから、ユーが病気になる「優しさの成分が一番効くんです」、そして、吸血忍者が経営するメイド喫茶で、サラスが始めたサービスに挑む歩と織戸のエピソード「帰れ!ご主人様!」の他、近所で行われていた寂れた縁日をハルナのプロデュースで盛り上げる「撃ち抜け!ヌルヌルを越えて」の5作品収録された珠玉の短編集。

 歩が選択した些細な言動が、周囲に大きな影響を与えるというか、あちらを立てれば、こちらが立たず、こちらを立てれば、あちらが立たないと言う複雑な三角関係を形成しているような雰囲気が感じられます。短編、それぞれのエピソードは、コメディ要素の他にも、ちょっといい話的な微笑ましい展開もあり、それなりに楽しめました。ただ、今回の本編である糊しろ部分のエピソード、つまり、前回、女王への失態で、呪いを受けてしまった歩の厄介な状況が、思っていたより深刻で、とても気になります。



これはゾンビですか?9 はい、祝(呪)いに来ました<ハート> (富士見ファンタジア文庫)

  • 作者: 木村 心一
  • 出版社/メーカー: 富士見書房
  • 発売日: 2011/11/19
  • メディア: 文庫