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“文学少女”と繋がれた愚者 [ライトノベル]

 ライトノベル「“文学少女”と繋がれた愚者」を、読み終えました。学校では、文化祭の話題が出始めたある日、心葉は、いつものように、遠子と二人の部活動をしていた。そんな時、彼女が図書館から借りて読んでいた本のページが切り裂かれている事に気付き、「文学少女」として、怒りを露わにする。早速、犯人捜しに乗り出した遠子に付き合わされる事になり……。一方、クラスメートの芥川一詩と一緒にいる事の多い心葉だが、ある日、彼の恋人だと言う同級生、更科繭里から、様子がおかしい彼の真意を聞き出して欲しいと頼まれるが……。
 儚げなイメージのある遠子ですが、芯は強いというか、いざという時に見せる包容力は、心葉も何度となく救われてきましたし、魅力的な要素ですね。普段の暴走気味な言動や多彩な表情を見せるリアクションとのギャップも、可愛さを引き立てていると思います。キャラクターでは、もう一人、典型的なツンデレキャラの琴吹ななせが、本格的に絡んできますが、報われる可能性が低いような気がしますし、思いの強さが増して行くほど、切なさが膨らみそうですね。
 ストーリーは、表向き、悩みを抱えている芥川の気を紛らわす為、遠子が中心となり、文芸部の文化祭の出しものとして決まった演劇を絡めた展開となります。心葉の他、ななせ、千愛がメンバーに加わって、演目は、武者小路実篤の「友情」。芥川の暗い過去、恋愛絡みで刃傷沙汰など、重いエピソードが描かれて行き、心葉が、芥川や琴吹と関係を深めて行く過程も見どころですね。
 断片的に入る芥川の手紙も、最初は、ストーリーに沿ったものだと思いましたが、最後の最後で、どんでん返しを食らった感じです。明かされた手紙の宛名に、衝撃を受けました。
 「コノハには、きっと、わからないだろうね。」というセリフを残して、屋上から飛び降りた美羽の存在。中学生の頃から苦しめられてきた心葉のトラウマですが、一つ、誤解をしていました。設定を、根底から覆すような現実に、頭の中が真っ白になった感じです。確かに、亡くなったとは表現されていませんでしたが、過去の話ではなく、シビアな現実が、目の前に迫っているという図式が浮かび上がり、続きがとても気になります。



“文学少女”と繋がれた愚者 (ファミ通文庫)

“文学少女”と繋がれた愚者 (ファミ通文庫)

  • 作者: 野村 美月
  • 出版社/メーカー: エンターブレイン
  • 発売日: 2006/12/25
  • メディア: 文庫



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