狼と香辛料Ⅷ

　ライトノベル「狼と香辛料Ⅷ　対立の町〈上〉」（８）を、読みました。ロレンス達が、ローム川を下る船旅で耳にした異教の神が絡んだ「狼の足の骨」の噂は、旅の新たな目的とするには十分なものだった。どうしても真相を確かめたいというホロに同意し、目的地半ばで、船を下りたロレンスたちは、情報を得るため、女商人エーブと会う事にした。そして、ホロの力を借り、先回りして、港町ケルーペで、彼女との再会を果たす。しかし、ケルーベという町は、貿易の拠点である三角州を隔て、南北に分かれ、対立しているという事情を抱えていた。エーブと再び関わった事で、厄介な取引に巻き込まれて行くロレンスだが……。
　冒頭、ホロが筋肉痛で起き上がれないというユニークなエピソードで始まり、エーブとロレンスも、それなりに良好な関係を築いているようで、微笑ましいものがあります。コルの参入は、ロレンスとホロの関係を、これ以上、深めないようにする緩和剤のような役割といったところでしょうか……。嫌いではありませんが、恋愛要素が後退気味ですし、ロレンスとホロの言葉遊びというか、含みのある会話にも、キレがなくなってしまったようで、ちょっと、残念です。
　それでも、エーブとロレンスの関係には、敏感に反応しているようで、些細な事でも、必要以上に責め立てるジェラシーむき出しのホロが、可愛く思えてきたりして……。
　本題の商取引では、まさに町を揺るがす程の膨大な利害が絡んだもので、ロレンスが、夜逃げしたくなるほど、身の危険を感じる取引……。詳細は、次巻〈下巻〉になりますが、すべて丸く収める方法があるのか、ロレンスの能力が試されるエピソードになりそうですね。

狼と香辛料 8 (8) (電撃文庫 は 8-8)

• 作者: 支倉 凍砂
• 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
• 発売日: 2008/05/10
• メディア: 文庫

タグ：ライトノベル 狼と香辛料