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“文学少女”と月花を孕く水妖 [ライトノベル]

 ライトノベル「“文学少女”と月花を孕く水妖」を、読みました。夏休みに入って数日が経ったある日、平穏な毎日を満喫していた心葉だが、突然、遠子から、呼び出しの電報が届き、更に、姫倉家から迎えの者まで来て、姫倉麻貴が滞在する別荘へと連れて行かれる。別荘では、麻貴への借りを返すために、さらわれたと主張する遠子から、熱烈な歓迎を受けるが、強引なやり方に不満を隠せない心葉……。文句を言いながらも、成り行きで、しばらく滞在する事になるが、そこは、80年前に、大量虐殺が起こったいわく付きの場所らしく、幽霊絡みの不穏な事件に巻き込まれて行く……。
 今回は、麻貴の境遇を含めた家の事情をベースにした番外編のようですが、心葉と遠子の同居ストーリーとしても、かなりポイントの高い展開が見られます。とにかく、遠子の可愛さが満喫できたエピソードですね。特に、幽霊が怖くて、毎夜、枕を抱えて、心葉の部屋に居座る言動とか、無防備で、我が儘な子供っぽさが全開で、とても可愛いです。それにしても、一緒に寝て、全く色っぽい展開にならないのは、遠子のせいでしょうか……。それとも、心葉が人畜無害すぎるのか、遠子の寝相の悪さを怒るくらいに、恋愛には無関心な二人で、ちょっと心配に思う程です。ただ、結末への伏線というか、遠子の秘められた思いや悩みを感じさせるシーンもあり、題材の文学と重なって、切ないストーリーになっていますね。
 メインストーリーとしては、過去を再現したような舞台を用意した事で、一歩間違えば、猟奇殺人的な展開の二の舞になったかも知れないという危うさがありますね。このシリーズは、本当に死人が出ることがあるので、油断できません……。そんな中で、麻貴を始め、呪いのように身動きのとれなくなっていた人達の解放という名目を保つために大活躍した遠子の存在は、大きいですね。この手のミステリーでは、探偵とでも言えそうな役どころですが、文学少女の知識で、立派に役割を果たしています。解釈の仕方で、受ける印象の違ってくるストーリーの存在など、マルチエンディングのようで、なかなか興味深い解説でした。



“文学少女”と月花を孕く水妖 (ファミ通文庫)

“文学少女”と月花を孕く水妖 (ファミ通文庫)

  • 作者: 野村 美月
  • 出版社/メーカー: エンターブレイン
  • 発売日: 2007/12/25
  • メディア: 文庫




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コメント 4

kaz777

GWの映画版公開の前に読みなおしたいのですが、
引っ越しのどさくさでどこに仕舞ったかわからなく
なってしまいましたよ。

それにしてもこのタイトル、「月花を孕く水妖」というのが
意味深ですよね。
最終巻で「ああ、やっぱりそういう事か」とはっきりするんですけど。
by kaz777 (2010-03-01 00:34) 

ななみ

まいにちすみません;;
ライトノベル系いいですよね!
by ななみ (2010-03-01 20:50) 

「直chan」

kaz777さん>
 コメントありがとうございます。
 アニメ化を前に、コミカライズやドラマCDなど、メディアミックス化も凄まじい作品ですね。先月、ドラマCDの第3弾も出ましたし、人気の高さがうかがえます。
by 「直chan」 (2010-03-03 23:03) 

「直chan」

ななみさん>
 コメントありがとうございます。
 感動要素を追求すると、ライトノベルは、一番好きなジャンルかも知れません。時間に余裕があれば、ずっと読んでいたいですね。
by 「直chan」 (2010-03-03 23:08) 

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