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“文学少女”と神に臨む作家 下 [ライトノベル]

 ライトノベル「“文学少女”と神に臨む作家 下」を、読みました。遠子の望みは、自分に、また小説を書かせる事で、しかも、最初から作家の「井上ミウ」だと知っていたという事に、深く傷ついた心葉は、彼女と距離を置き、書きたくなければ書かなくていいと言ってくれたななせに心を開く。しかし、どうしても遠子の為に、小説を書かなければならないと、脅迫する流人が、邪魔をするななせに危害を加えると予告してきて……。

 シリーズ本編の完結編です。流人の思惑に反し、逆に、仲を深める結果となった心葉とななせが、いい雰囲気で、これまでで一番幸せそうにしているななせに、とても魅力を感じました。俗に言う、吊り橋効果が働いただけかも知れませんが、ようやく、心葉が、ななせを意識したのは、ラブストーリーとしてもポイント高いですね。ただ、テーマは、遠子と流人が関わる家庭の事情ですし、その謎は、遠子の両親の死と、流人の母、叶子が書いた暴露本のような小説に描かれている毒殺説と遠子の死亡説……。三角関係のもつれとして、妙にリアルですし、一瞬、遠子が現実に存在しているのか不安にもなりました。そんな、複雑化した家庭の事情絡みの謎を紐解いたのが、意外にも心葉で……。遠子の十八番となっている鮮やかな解決編ですが、今回ばかりは、心葉に譲ってくれたようですね。泥沼のような展開に、少しだけ救いの光が差したという程度ですが、最悪の事態は避けられたようで、とりあえず、落ち着くべきところに収まったという感じでしょうか……。
 波瀾万丈な流人は、ともかく、結局、幸薄かったななせが、最後まで可哀想に思えました。エピローグを含め、語り足りないような物足りなさも感じられますし、感動の結末には程遠い気もします。



“文学少女” と神に臨む作家 下 (ファミ通文庫)

“文学少女” と神に臨む作家 下 (ファミ通文庫)

  • 作者: 野村 美月
  • 出版社/メーカー: エンターブレイン
  • 発売日: 2008/08/30
  • メディア: 文庫




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